福田真嗣先生の進化する腸内フローラ研究! 美肌菌の存在とは?
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腸内細菌の情報が目まぐるしく変わってきています
腸は第2の脳と言っている時代は終わったようです(?)
いまは、私たちの腸こそが私たちの身体を支配している
というもっぱらの噂。
この分野の専門家である農学博士の福田真嗣先生は、
脳がなくても腸がない生物は存在しない、
今や、腸こそが第1の脳だというのです。
今まで、たくさんの腸内細菌の情報を仕入れてきましたが、
今回は、驚きにプラスして
もっと自分の腸に、食に関心を持とうと思いました。
自分の腸の中をどのように管理していくのかが、
これからの自分の健康に大きくかかわっていくからです。
「どっちつかずの日和見菌を、善玉菌に増やしたら良い」
という考え方も、どうやら古くなってしまったようです。
従来、悪玉菌と呼ばれていた菌も、
時と場合によっては、お腹に悪さをする菌を攻撃してくれるそうです。
さて、最新の腸内の細菌の情報とはどういうものなのでしょうか?
腸内フローラのおさらい
ここで、腸内フローラとは何か? をおさらいしてみましょう。
腸内フローラの「フローラ」とは“集合分布”の意味で、
腸内の細菌が集まったものを言い、腸内細菌叢(そう)とも言います。
その腸内細菌の居場所というのは、腸壁の表面と腸内の空間にいます。
そして、私たちのお腹の中に、細菌がどのくらいいるのか? というと
標準的成人男性1人がもつ腸内細菌の量は
ペットボトル3本分、約1.5kgにもなります。
腸内フローラ ≒ 1.5Kg(成人男性の平均体重 約66kg)
腸内細菌数は100兆個と考えられ、
その中に乳酸菌、ビフィズス菌、大腸菌が含まれているわけです。
私たちの身体を構成する細胞の数は約37兆個といわれているので、
その数よりも、はるかに多い数の腸内細菌が
お腹の中に住んでいるのです。
腸内フローラの最新情報 福田真嗣先生
山形県・鶴岡市にある慶応義塾大学・先端生命科学研究所の
特任准教授、福田真嗣先生の最先端の研究の話を
テレビで知る機会がありました。
2002年5月に開発された、メタボローム解析システムという、
世界ナンバーワンの分析設備といっても過言ではない機械により、
研究者が想像していなかった便の中の内容まで
調べることができるのです。
腸内細菌の種類や数だけでなくお腹の中の情報、
例えば、
- どういう微生物がいて
- どのように振る舞い、
- どういう機能を果たしているのか
ということを教えてくれるのです。
そしてついに腸内フローラが、アレルギーの発症や脳機能を左右し、
糖尿病、肥満にまで関与していることもわかってきたのです。
健康や病気をきちんと理解するには
体の細胞だけでなく、微生物も含めた形で理解する必要がある
というのです。
腸内細菌の疑問
やっぱり腸内細菌の中で1番多いのは大腸菌でしょうか?
実は、日本人のお腹の中には大腸菌は少なく、
数百から数千あるような細菌の1%程度に過ぎません。
大腸菌にはたくさんの種類があり
病原性のあるものもあれば無いものもあります。
従来は善玉菌・悪玉菌・日和見菌と分類されてきましたが、
悪玉菌とされてきた菌の中にも
人間に有用な働きをする菌がいる事を最新技術で発見したのです。
個々の細菌の機能や役割を理解することが全体を理解につながるのです。
その腸内で生きられる細菌の数は決まっていて
細菌の種類は人それぞれ異なり、腸内で定着する種類もまちまちです。
健康なお腹に病原菌が侵入した場合、
病原菌により腸内環境が悪化すると腸内の細菌の中でも、
いろいろな働きをしていることがわかりました。
身体の調子が悪い時や、病原菌が侵入した時、
ストレス、食生活の乱れ、寝不足、などで腸内環境が悪化するのです。
つまり体調が悪いと腸内細菌の種類が減り、
腸内フローラのバランスが崩れ、病原菌が腸内に留まり
感染して病気につながるのです。
腸内細菌はいったいどこからくるのでしょうか?
実は、個々の腸内細菌の割合は3歳までに決まるそうです。
腸内細菌が作られる時に、
1番最初にどの菌が腸内につくかで違いがでます。
赤ちゃんは、お母さんの子宮の中では無菌状態にあるので
生まれてすぐに、良い菌をお腹に定着させることが1番だそうです。
その仕組みは下記のとおりです。
- 産道で細菌を受け取る
- 助産師から細菌を受け取る
- 母親の胸の上で皮膚の常在菌を受け取る
お母さんが抱っこしたり、周りの大人たちが抱っこしたりして
そこで、いろいろな細菌が赤ちゃんに移行し、
移行した細菌が、それぞれの場所に住み着いて常在菌となります。
こうして細菌が身体に入り腸内フローラが作られていくのです。
中でもビフィズス菌は、母親と全く同じものが受け継がれ、
母乳に含まれるオリゴ糖が乳酸菌やビフィズス菌の働きを良くし
大腸菌を減らし、腸内のバランスを良くしていくのです。
3歳までの腸内環境が大切だなんて頭の片隅にもありませんでした。
福田真嗣先生の最新の情報
<乳酸菌、ビフィズス菌が悪い菌を撃退する>
2011年の科学雑誌、ネイチャーに掲載された論文で、
ビフィズス菌が産生する酢酸により病原性大腸菌0157を予防し、
また、撃退する仕組みを解き明かした。
悪い働きをする菌を抑制する乳酸菌、ビフィズス菌は
腸内フローラを改善させ、悪い病原菌がとどまることを防ぎ、
ビフィズス菌が生成する物質が、
腸内環境を整え整腸作用の働きをする。
<食生活の内容で腸内フローラは変わる>
腸内フローラの分布を調べてみると、
最近の日本人は、肉や魚などの脂質を食べると増える菌が
多くなっているというのです。
つまり、日本人の食生活が欧米化しているということです。
それに対して、肉、魚などを一切口にしない、
真のベジタリアンの人の腸内フローラは、
脂質を食べると増える腸内細菌はありません。
代わりに、炭水化物・食物繊維を食べると増える菌、
プレボテラ菌が多く存在し、そして菌の種類にも多様性があるそうです。
いろいろな種類の糖質がお腹の中に入ってくることによって、
その糖質を栄養素として使えるような菌の種類が増え、
腸内の環境も整えられるとのこと。
食生活の偏りは、腸内フローラの偏りにも影響するのです。
<ダイエットや運動量で腸内フローラを変えることができる>
短期間の糖質制限ダイエットと運動により
腸内フローラをコントロールすることができます。
糖質制限の内容とは、
炭水化物のご飯、果物や、糖の高い野菜や根菜類、
イモ類、牛乳などの乳製品の排除、
糖質が少ない外国産の赤味肉を取ること、
薄味にする
ーーというものです。
<腸内細菌に良いヨーグルトの選び方とは?>
腸内フローラは、指紋のように人によって異なるので、
ヨーグルトも1週間、1種類を食べ続けて、便通の様子をみる。
- 便通がよくなる
- 色がよくなる
- ニオイがよくなる
のがよい兆候です。
1週間食べ続けて、合うものを探します。
毎日食べなければ意味がないとのこと。
<腸内細菌を1番元気にする食べ物>
食物繊維が含まれている食事が良いそうです。
サツマイモ(紅天使)大麦などのいろんな食物繊維です。
例えば、、、
ひじき、大豆、昆布、ブロッコリー、キャベツ、ニラ、
ごぼう、玉ネギ、大根、人参、椎茸、えのき、鶏肉・・・などなど。
乳酸菌、ビフィズス菌の働き
名古屋大学医学部付属病院では、
最難関の「肝門部胆管ガン手術」の患者さんに
乳酸菌飲料「ヤクルト」を飲んでもらっているそうです。
大きな事故や手術などで
体にストレスが加わると腸内フローラのバランスが崩れるので、
手術の2週間前から術後の回復するまで、
乳酸菌とビフィズス菌を摂取し、合併症を抑制して
菌が増えないようにしているというのです。
術後の感染性・合併症の原因となるような生体にとっては、
悪い働きをする菌が増えることは命にも関わります。
乳酸菌、ビフィズス菌といった良い働きをする菌が減るのを抑え、
患者さんの回復を早める働きをするそうです。
この効果は数字にも表れ、感染性・合併症の発症率が
従来、52・2%だったものが、菌摂取により12・2%に下がり
副作用も全くなく効果を発揮しています。
<皮膚の美肌を作る表皮ブドウ球菌>
私たちの皮膚には
肌を守る「表皮ブドウ球菌」という菌が存在することが
長崎国際大学・薬学部の
野嶽勇一・農学博士の研究によってわかりました。
私たちの身体には、肌を守る美肌菌と、ニオイの原因となる菌がいて、
この二つの菌が体のニオイを左右するというのです。
いったい、この二つの菌の関係はどうなっているのでしょうか?
嫌なニオイの原因となるのは「黄色ブドウ球菌」という菌で、
この菌は、あの食中毒の原因ともなる菌です。
もういっぽうの表皮ブドウ球菌と呼ばれる菌には、
有機酸という物質を作る特徴があり
黄色ブドウ球菌の増殖を抑制してくれるのです。
しかし、この肌を守る、表皮ブドウ球菌は
入浴・洗顔等で8割が洗い流され、元の数に戻るには
およそ約8時間がかかるというのです。
ですから過剰に肌を洗ってはいけないそうです。
ニオイを抑える表皮ブドウ球菌にはさらに、
“美肌菌”というニックネームがあるほど
スキンケアに良い影響を及ぼしてくれる微生物
だということもわかりました。
肌荒れをおこした状態に表皮ブドウ球菌を足すと、
バランスのとれた健康な肌を取り戻すことができるというのです。
しかし残念なことに、
本人から採取した表皮ブドウ球菌を培養したものでないと
効果がなく、その人の固有のものでしか肌に定着しないそうです。
野嶽博士は「肌を守る表皮ブドウ球菌のこの働きは、
今後アトピー性皮膚炎に対して救世主になるだろう」と
研究を継続されています。
<腸と脳の関係>
人間が口にして食べたものだけが、腸内細菌のエサになります。
ということは腸内細菌が、腸にある神経細胞を通して、
私たちの脳に深く影響しているといえます。
となると、もしかすれば、個々の食の好みは、
実は腸内細菌が私たちに「これを食べろ」と指令しており、
それに言われるがまま、食べているのかもわからないというのです。
腸内細菌の代謝物には、セロトニン、ドーパミン、ビタミン類、
タンパク質などあり、腸内細菌が生み出す物質には、
脳に働きかけているものもあるというのです。
そして腸内細菌が、肥満、アレルギー、糖尿病、動脈硬化、ガン、
脳にまで影響を及ぼすこともわかってきました。
ますます、食の大切さを重視する必要が出てきたかもしれませんね。
体調を整え、ストレスを発散し、普段から食事に意識をして
腸に気を配ることが大切です。
私たち人間は常に存在する常在菌によって共生し、
微生物や細菌と助け合って生きているのです。
福田真嗣先生の今後の研究は、
- 心身共に健康な時期の便を保管しておけば、歳を重ねた時に予防になるのではないか?
- 便のバンクというものを作り上げれば、腸内フローラが乱れた時に活用できるのではないか
という方向へ進んでいます。
この夢のようなバンクによって、多くの病気を予防し、
私たちの未来が大きく変わることを願ってやみません。