朝日新聞「悩みのるつぼ」欄で、バカバカしくもリアルな母と娘の確執に答える上野千鶴子先生
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読者の相談に、有識者がこたえるという朝日新聞の「悩みのるつぼ」欄を毎回楽しみに読んでいます。
このほど、その「悩みのるつぼ」に、母親との関係で悩んでいらしゃる50代半ばの方からの悩みの相談が掲載されていましたが、
ウチと一緒やな〜
と思ってしまうような内容だったので紹介したいと思います。
私自身、母と考え方や生き方に確執があり、悩むことがありますので、目が点になるほど集中して記事を読んでしまいました。
思い込みと恨みの気持ちが激しすぎる母
50代半ばのこの方の相談は少々ややこしいです。
「自分は正しいと思い込んで決めつける癖がある83歳の母」について上野千鶴子先生に相談されているのですが、その悩みは、この「悩みのるつぼ」欄に関係があるというのです。
その悩みというのが、5年前にさかのぼります。
5年前の「悩みるつぼ」の記事に、30代の主婦からの投稿で「母が嫌いです」と上野千鶴子先生に相談したものがありました。
その5年前の上野先生の回答を朝日新聞から抜粋します。
「好きになれない母親をむりやり好きになることはない。問題は、娘が母を愛せない自責の感情から自由になれないことで、あなたに苦しみを与えているのは、あなた自身の母の要求に応えたいと思うよい子意識」「性格が悪いけど困っている隣のおばさんに親切にするくらいの気持ちで十分」というものでした。
そして当時、この記事を読んだ50代半ばの相談者の母親が、「あなたは上野千鶴子さんに相談したわね」と決めつけて、因縁をつけてきたそうです。
「違う」と言っても、「あなたに決まっている」と信じてもらえないそうです。
その後、5年以上もたつのに、いまだにその時の相談を娘の相談と疑わず、その時の上野先生の回答から、「私を隣のおばさんと思っているでしょ」と言い続けているそうです。
隣のおばさんでない母
私もこの5年前のときの回答を再び読みまして、この時に感動したことを思い出しました。
私が小さい頃、母は働いておりましたので、生活全般を祖母に面倒をみてもらっておりました。
それでも父がいた頃は母とスムーズに良い関係が築かれていたのですが、父が亡くなり、急に母との関係が縮まってしまいました。
母の寂しいという要求にできるだけ応えてあげたいと思う意識と、それまでの母とのギャップに動揺し、関係がギクシャクしていたのでした。
頭ではわかっているのだけれど…が正直な気持ちです。
上野千鶴子先生の回答は、半分が有りで、半分が無しのハーフハーフだなというのが、私の感想でした。
性格が悪いけど困っている隣のおばさんの想像がつきませんし他人である隣のおばさんには遠慮がありますが、母には、遠慮とかデリカシーがありません。
機嫌が悪いと娘には、ドド~ンと容赦なくトゲのある言葉が返ってきます。
娘の行動が逐一、気になる母、そんな呪縛から逃れたい娘。私もこの年齢になって、お互いの関係に、こんなに悩むとは思ってもみませんでした。
今回の悩みのるつぼの回答 朝日新聞から抜粋
そして、その50代半ばの今回の相談者の母親に対しての上野先生の回答は、
母親が、「あなたに決まっている」と責めるのは、お悩みの内容について、お母さんの側に自覚がある証拠でセクハラも虐待も最大の問題は被害者と加害者の認知ギャップ。加害者は自分が悪いことをしたとはこれっぽちも思っていないのが、親子関係や男女関係のような非対称な関係の特徴だということ。83歳の母。自信満々の人生でも翳りを感じて不安が言わせたせりふかもしせません。
距離のある関係がお互いに優しくなれるゆとりを生むって、上野センセイも言ってるからね、なんていうやりとりができると最高なんですけどね。
そして…また。親しい関係であるほど、なかなか正面から向き合えないもの。こんな第三者の介在があると、オトナ同士の対話が成り立つかもしれません。この回答がお役に立つことを心から願っています。
で結んでおられます。
被害者と加害者の認知ギャップ
現在は週2回、母と会うというスタイルの私。
例えば、私がこまごました世間話は聞きたくない、親戚の悪口は聞きたくない、芸能界の話は知らない、などなどといくら言っても、会うたびにテープが流れるように話が始まります。
会うたびに流れてきますから右から左へ、聞き流すのは、これはなかなか大変です。そして、趣味、思考、生活スタイルが、お互いに違うし、お互いの考え方が理解できないのですから、その差は縮むことがありません。
他人なら聞き流せることが、母となるとそうはいきません。
繰り返し聞かされる内容は、いつの間にか頭の中にインプットされ繰り返され、なかなか辛いものがあります。
心の切り替えを心得たつもりでも相当な精神力を必要とします。
第三者の介在として、たまには役立つ夫
第三者にゆだねる事。これには大賛成です。
うちの場合は夫が、その役目を果たしてくれています。
これは、なかなか有りがたく定年後の在宅中の夫に感謝でしています。
芸能界や、事件、政治の話には、横から、すっと入ってきて母と話をしてくれます。母も夫の話には、神妙に耳を傾けて話を聞いています。どうやら聞く耳は持っているようでした。
母が自由に会話ができる相手が私だけなので寂しいのはわかりますが、自分をガンガン出してきて娘の話は、まったく聞く気持ちがありません。
どうやら自分を否定されるだけと思っているようです。
こちらが、疲れていたら、ついつい怒り口調になってしまい声も大きくなってしまいます。
当然、母にすねられ、あげくに高齢であることを理由に母は被害者になります。
しかし、そこで引くような母ではなく、ちゃっかり、私の息子や姪っ子に電話をかけたりして、私のことを言いつけています。
母もなかなか心得たものです。
再度チャレンジしてみようかな
母と娘は、簡単に割り切れる仲ではなく、小細工で済ませる間柄ではないということがわかりました。
母は、こんな私を、いったいどう思っているのか本当の本音を聞いてみたい気がしますが、今の母は、すべてにおいて自分は被害者であり、自分に同意してくれる人だけが味方なのです。
この悩みのるつぼの相談欄に、次回5年後にまた、この50代半ばの相談者の悩みを読んでみたいと思います。今から5年後の相談が楽しみです。
母との確執を持続しつつ、なんやかんや言いながら、母には長生きしてほしい。だって母の要求に応えたいと思う良い子ですから。
相談者もきっと、そう思われていることでしょう。そして、また上野千鶴子さんの回答を読んでみたいと思います。次の相談は5年後です。